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by kazuo_okawa
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山梨県民信用組合事件~退職金減額で最高裁初判断との記事!

2月20日付け日経新聞によれば、
「山梨県民信用組合(甲府市)と合併した信組出身の元職員12人が退職金を大幅に減らされたのは不当として、合併前の基準での支払いを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は19日、「賃金や退職金を不利益変更する場合は、事前に内容を具体的に説明して同意を得る必要がある」との初判断を示した。」という。
その上で元職員側の請求を退けた二審・東京高裁判決を破棄し、信組側の説明が十分だったかどうかを審理させるため、同高裁に差し戻した。

記事の通りであれば大変素晴らしいのであるが…。
一般に、合併で、労働条件が(労働者に)不利益に変更させるときに、「就業規則」を変更する手法をとる。
これは労働法学上「労働条件の不利益変更」というテーマでよく知られている。
そして、その結論は判例の積み重ねで「労働者の同意無くば原則として無効。但し、その変更に合理性があれば有効」とされ、その法理は後に法制化された。
この法理からすれば、基本は同意が必要であるが、同意がなくても(合理性があれば)有効になるときがあるわけである。
つまり同意がなくても有効になることがある、というのが重要なのである。

ところが新聞記事によれば、「賃金や退職金を不利益変更する場合は、事前に内容を具体的に説明して同意を得る必要がある」と出ているのである。
何と「同意」とある!

これは<同意がなくても(合理性があれば)有効になるときがある>とする「労働条件の不利益変更法理」とは違うので、実は大変な内容なのである。

そこで早速、最高裁のHPからこの判例を検索して読んでみた。
すると内容は新聞記事とやや違うではないか!

最高裁判例は、ざくっと説明すれば、1、2審が「同意」を理由に使用者側を勝たせたが、同意の認定は慎重にせよというもので、「同意が必要」とは言ってないのである。
つまり新聞記事の要約は間違っているのです。
これならばわかります。
まあ、当然ですよね。

新聞記事と最高裁判決しか読んでいないので、事案の把握は必ずしも正確ではない。

しかし、最高裁判例に次のようなくだりもあった。
「なお,平成16年基準変更に際して就業規則の変更がされていないのであれば,平成16年基準変更に対する上告人らの同意の有無につき審理判断するまでもなく,平成19年法律第128号による改正前の労働基準法93条により,就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める合意として無効となるものと解される。」

これで驚くのは、ひょっとしたら、使用者側は就業規則の変更をしていないのか!という疑問である。

本件で経営側は社労士に相談している。

経営側の弁護士に相談していれば、就業規則を変更しないことなどはあり得ない。
もしも、就業規則の変更をしていなければ、社労士の責任問題であろう。
というか、まあ、そもそも社労士に頼んだこと自体が問題であったといえるだろう。

本件は、労働協約で不利益変更に同意した組合執行委員長が果たしてそんな権限があったかという指摘もされている。

背景に色々と問題の多い感じのする事件である。




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by kazuo_okawa | 2016-02-20 17:21 | 労働 | Trackback | Comments(0)