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by kazuo_okawa

問題だらけのマイナンバー制度

9月12日に豊中での講演会に参加する。
講師は、黒田充氏である。
同氏は大阪自治体問題研修所理事など努めておられ、私が担当した約14年前の住基ネット訴訟でも大変お世話になったこの種の問題の第一人者である。

まずはマイナンバー制度の概要を説明され、次いで、この制度の問題点として①プライバシーの侵害②自己情報コントロール権の侵害③プロファイリングによる選別と排除、等を指摘される。
この辺りは日弁連も指摘しているところである。

怖いのは、更に続く「目的の不当性」である。

①目的の第一は社会保障費の削減。

例えば、生活保護への資産や親族の調査に活用されたり、健康指導を受けて健康増進を図る人には特典があるも、従わない人には医療給付に制限をかけるなどが考えられるという。
しかし健康増進をはかる時間的余裕のある人はどういう層なのか。
マイナンバー制度を金持ちから効率よく保険料をとるようなシステムと思っている人がいるがそうではない。
マイナンバー制度は決して金持ちを対象にしたものではない、ということが黒田氏によって分かりやすく説明される。

②更に課税強化である。
狙われているのは高所得者ではなくて低所得者である。
これも大金持ちの脱税を防ぐためと勘違いしている人がいるがそうでは無いと、黒田氏は説明する。
例えば、海外資産、海外取引はマイナンバー制度で把握出来きない。
これでは大金持ちは海外に資産を隠せといっているようなものである。
また金融商品への投資に損益通算を拡大することになっている。
損益通算とは、株で100万円設けたが信託で100万円損した場合、従来は設けた株の100万円に税金がかかったが、損益通算とは、このプラスマイナスを通算することである。
それゆえ先の例だと儲けと損を通算してゼロ円だから、税金はかからなくなる。

これは良い制度だ、競馬で大儲けするときもあるが、損もあるので、通算して貰うのはありがたいと思ってはならない。
通算出来るのは、宝くじや競馬はなく、あくまで株と信託である。
このように、むしろ、大企業、金持ちは優遇されているのである。

③そして戦争の出来る国作り。
安保法案を見ての通り、安倍政権はひたすら戦争の出来る国作りを目指している。
このマイナンバーは「徴兵」よりも「徴用」に利用される危惧があると黒田氏は指摘する。
戦争は軍人だけ絵出来ない。むしろ後方支援が重要あり、アメリカでも8割は軍人外だという。
近代戦争ではむしろ「徴用」が重要であり、マイナンバーがそれに利用される。
例えば、「医者」と広く徴用するよりも、よりきめ細かく「外科の医者」と絞る方が良い。
戦争の前線に送る医者には「皮膚科の医者」に来て貰っても仕方がない。
このようにマイナンバーはよりきめ細かく「徴用」に役立つ。

④最後に財界奉仕。
1T公共事業とい呼ばれる側面と「マイナンバーの民間利用」を考えている。
まあ、ようするにこれで一儲けしようとする財界の奉仕に過ぎないというわけである。

黒田氏の話を聞けば、マイナンバー制度の暴走で、情報漏洩・プライバシー侵害、自己情報コントロール権の侵害などの危険性以外に、目的において、構造的に問題があることがわかる。

問題だらけのマイナンバー制度は直ちに中止しかない。
by kazuo_okawa | 2015-09-14 23:35 | 情報・プライバシー | Trackback | Comments(0)