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by kazuo_okawa

羽生のコンピュータ的思考能力

7月15日、第86期棋聖戦五番勝負(羽生善治棋聖対豊島将之七段)第四局は羽生棋聖が勝利し、通算3勝1敗で羽生棋聖の防衛が決まった。

 興味深いのは、羽生の69手目である。貴重な持ち駒一歩を63歩と豊島の62金の頭に打つ。豊島は長考後その歩を取らずに61金とそのまま後ろに引く。
 この場面で、ニコ生解説者鈴木大介八段は「豊島良し」と形勢判断している。しかも次の羽生の一手が予想出来ないという。
 ところがである。
 驚くべきは羽生の次の一手である。
 羽生も長考の末、何と羽生は自ら打った63の歩を62に成り捨てるのである。
 それを豊島が金で取り返せば、もともと羽生が歩を打つ前の状態に戻る。つまりは羽生は一歩損しただけになる。
 それゆえにありえない一手なのである。何故なら、人は思考を省略するところに叡智がある。省けるところは省くことによって、その分、別の思考を巡らせることにより、それが新たな進歩を生む。言わば最初に考えた一手(金の頭へ歩を打つこと)の意味を再び考えることはない。

 しかし、羽生の恐ろしいのはここにある。自ら先に指した歩の意味を引きずることなく、間違っていたと思えば平気で修正するのである。
 通常の人間の発想を超えた「自由な発想」としか言いようがない。
 言い換えれば、その場面、その場面で最善の一手を追求していることになる。まるでコンピュータ・ソフトのようである。
 実は、豊島七段はコンピュータ・ソフトと対戦しているとき、羽生さんと闘っているのではないか感ずることがある、と実に興味深い指摘をしている。

 果たして豊島は、羽生の71手目歩の成り捨てに直ちにとらず、チャンスとみたか歩のタタキを利かした。
 71手目成り捨てが、豊島に与えた影響は分からない。

 しかしこの成り捨てが、羽生の真の強さを示す一番の見所であることは違いないだろう。
羽生、恐るべし。
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by kazuo_okawa | 2015-07-17 22:28 | 将棋 | Trackback | Comments(0)