「詐欺」被害者をねらう新たな詐欺
2015年 04月 24日
相変わらず自治体相談は、予約者で一杯である。
その中に、株式会社ZKRからみの相談があった。
ZKRとは100億円以上の負債を抱えて民事再生をした会社であり、その負債のほとんどは一般顧客からの「預かり金」である。
つまり高利回りを謳い文句にお金を預かり、運用に失敗して破綻したというものである。
そんなニュースがあったなと思うが、類似の事件はよくあり、詳細は覚えていない。
さて相談者の相談は、民事再生のときの東京地裁からの書類には応答して、その後忘れていたが、今回「田中税務会計事務所」から突然文書が来て、ZKRの権利が無くなるから、「至急同封のもに必要事項を記載して送れ」という内容だがどうしたらよいか、というものである。
大体、「至急」とあせらすのが怪しい。
とはいえ、相談者が大部の関係書類を持ってこられたため、書類の全てに目を通すことが出来ず、全貌をすぐに把握出来ない。
しかし、見るからに怪しい文書ばかりである。
時間があれば、その怪しいところに電話して(おそらく、怪しい人物がなりすまして出てくるだろうから)それなりにやりとりが面白いのであるが、何せ、自治体相談は一人30分(もっと短いところもある)と限られているので、一番、手っ取り早い方法をとった。
間違いのない東京地裁の文書から監督委員北秀昭弁護士の名をみつけて、そこに電話して事情を説明したのである。
回答は予想どおりであった。
北弁護士は断言した。
「最近、私のところに問い合わせが多いのですが、それは『振り込め詐欺』です。相談者の方に応じないよう教えてあげて下さい」
それを相談者にそのまま伝えると、驚かれ、そして、大いに喜ばれた。
こういう瞬間が、弁護士やっててよかったなあ、と思うときである。
「詐欺」(括弧付きです)の被害者を狙う新たな詐欺。
皆さん、どうぞご注意下さい。