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by kazuo_okawa

あいりん職安行政に、司法が正す!

すでにブログで述べましたとおり、あいりん職安行政に対して大阪地裁は結論で原告側を負かせたものの、理由中に、「違法」との判断を示す画期的な判決を出しました。

そこで私達は控訴しないことにして、本日、下記の通り、弁護団声明を発表しました。

今後は、行政が司法判断を尊重するのか見極めていきたいと思います。
引き続きご支援よろしくお願いいたします。

              弁護団声明

 釜ケ崎にあるあいりん職安は日本でただ一つ職業紹介をしない職安です。
私たちはその違法を正すべく、職業紹介をしなかったことの取消を求める行政訴訟(取消訴訟)と国家賠償請求訴訟を行いました。
 4月16日に大阪地方裁判所第7民事部合議2係(田中健治裁判長)は、結論として、原告らの訴えを却下ないし棄却しました。
 しかしながら判決はその理由中で、あいりん職安の業務には日雇労働者に仕事の紹介をすることも含まれており、あいりん職安が仕事の紹介業務を行わないことは「違法であると言わざるを得ない」と断定しました。
 とりわけ被告国が主張した「あいりん地区においては①地区内の日雇労働者は行政機関を忌避する傾向が強いこと②短時間に大量の求人・求職が集中する中で、迅速かつ的確に就労あっせん業務を行う組織体制や施設の整備が困難であること③あいりん地区で確立されている相対方式での職業紹介は、公共職業安定所の業務として実施できないこと等の問題点がある」との点に対して、判決は①については釜ヶ崎に居住する日雇労働者が行政機関を忌避する傾向にあるとは言えない②については昭和45年10月ころからあいりん職安において職業紹介を行うことが課題としてあがっていた。組織や設備の整備を行う時間は十分にあったのに何もしてこなかった③については相対方式以外の方法で実施できる職業紹介を行うべきであった、とことごとく否定しました。
 このように判決が違法性を認めたことは、当然といえ、評価できます。
 無論、行政訴訟について処分性を否定したことや、違法を認めながら職員に過失がないとした点など不満の残る点もあります。
 しかしながら、約40年のあいりん職安行政のあり方について、司法が、初めて「違法」と断じた意義は極めて大きいものがあります。
 そこで、私たちは、控訴しないことにしました。
 被告国は、司法が「違法」と断じたことを重く受け止め、あいりん職安行政のあり方を法の趣旨にそって直ちに是正するように強く求めます。

                2015年4月22日
                           あいりん職安訴訟弁護団

【追記】
2015年12月25日付けブログの通り、本年4月から運用が変わることとなった。
司法が行政を変えたわけである。

【4月1日追記】
2016年4月1日の朝日新聞夕刊に
「あいりん職安始動」
「裁判結果受け、厚労省が見直し」との見出しの元に
判決を受けてあいりん職安で職業紹介が始まったことを報じている。
この裁判の原告稲垣さんは早速申し込んだとのことである。



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by kazuo_okawa | 2015-04-22 23:28 | 司法・ニュースその他 | Trackback | Comments(0)