マックス・メイヴェンとユージン・バーガー
2015年 04月 10日
マックス・メイヴェンは私の好きなマジシャンであり、80年代には彼のレクチュアや彼が出演するコンベンションなどによく参加した。
マックスの作品はDVDともども幾つも買わせて貰っている。
連れ合いが、87年だったか(横浜FISMのときに)マックスとツーショットで撮った若き日の写真を持ってきて彼にサインを貰っていたが、連れあいの名をカタカナですらすらと書いたのに驚く。
さて今回マックスの見せたマジックは、実にたった一つにすぎなかったが、それでも私にとっては強烈なインパクトを示した。
客の一人の手の甲に予言のカードをV字型に置く。
別の客から借りたデック(トランプ)を裏向けにスプレッドして、その客にスプレッドしたカードの端から指を示してゆっくりと動かして好きなところでストップするように指示する。
その客がゆっくり指を動かす。
マックスが「遅くに」「遅くに」と変な日本語を述べていたのを記憶しているが、いずれにせよ客が自由にストップしたところのカードを開ける。
何とそれは予め最初の客の手の甲に置いたカードと一致する!
さすがにメンタルマジックの第一人者である。
不思議なことこの上ない。
トリックについては想像もつかない。
もう一つ印象に残ったのは、レクチュアの席上、ある客が質問したときである。
「(その技法で)失敗したときはどうするんでしょうか」
レクチュアの講師に代わってマックスが答えた。
「君はサーカスを見たことがあるかい。サーカスの一輪車の綱渡りだ。その彼に向かって君は『失敗したらどうするんですか』と聞くかい。」
言わんとするところは「練習あるのみ」ということである。
このマックスの答えには感銘を受ける。
そして哲学的マジシャン、ユージン・バーガーである。
実は、ビデオではお馴染みのマジシャンだが、実際にお会いするのは初めてであり、彼にも感銘を受けた。
彼のマジックも素晴らしい。
そして彼のマジック哲学もいい。
印象に残った言葉をあげる。
「観客の笑いが、全て良い笑いとは限らない」
「良い笑いを得るようにしなければ、客は逃げていく」
「私がこのことに気付くのは遅かったが、気付いたのは大きかった」
「演技は急いではいけない。ゆっくり行うことが重要である」
「マジックは価値のあるものである。しかし、価値のあるものを行う、価値のあるものを与えると心がけなければ相手に伝わらない」
「価値のあるものを与えることで、価値のあるものを得られる」
「全ての客に大切なものをあげる姿勢で臨まないといけない」
「私は全ての客を、社長のように対応する」
ユージン・バーガーに会えたことも大きな収穫である。
大変楽しく、そして素晴らしいクロースアップ祭りでした。
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