金銭解決制度に反対する視点
2015年 03月 26日
金銭解決制度は、小泉政権時代から提案されるも、労働側の強い反対にあって実現しなかった。
それはそうだろう。
正当な理由が無くても、金銭さえ払えばいつでも解雇出来るとあっては、労働者にとってはたまらない。
そこで、今回の意見書であるが、新たに提案された金銭解決制度には注意しなければならない。
今回の制度は、事前金銭解決制度ではなくて、あくまで、裁判で不当解雇と判断されたあとの事後的な金銭解決制度である上、労働者側からの申立によってのみ認めるとした。
これだけを見れば労働者にとって不利益はない(ように見える)。
推進側は、むしろ金銭解決基準が出来て、労働者にとって有利な制度であると評価するものもいる。
労働者からの申立に限っているのであるから、その金銭額が嫌なら、申立てなければいい。
しかし、果たしてそうなのか。
無論、そうではない。
まず第一に、企業社会において、法律に書いてある通りに運用されない、ということである。
法律に書いてあるとおりに、企業社会が運用していれば、何故に残業代請求訴訟が相次ぐのか…。
「労働者側からの申立」が制度の濫用の歯止めに成るというのは余りにも楽観過ぎる。
今何よりも求められるのは、法律通り運用されることである。
第二は、金銭解決制度という仕組みを導入する事自体の問題である。
今回の仕組み自体は、つまり法律上の文言自体は(予想される「運用」を別にすれば)労働者に不利益は無い。
(文言上は「労働者の申立」に限るのであるから)
問題は、一旦、制度が導入されると、それが拡大されていくことである。
そのことは、派遣法の導入とその拡大、
消費税導入と、その後の税率アップなど事例は枚挙にいとまがない。
(ちなみに、安倍政権は傲慢にも「憲法改正を経験してもらおう」などとも言っている)
一見もっともらしい今回の「金銭解決制度」
前述の視点から、今回の制度についても反対する。