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by kazuo_okawa

靖国参拝に見る小泉首相と安倍首相

11月14日に、いわゆる「靖国訴訟」について京都で講演した。

私は、中曽根首相の靖国神社違憲訴訟、小泉首相の違憲訴訟に関わり、今また、2013年12月に強行された安倍首相の違憲訴訟に代理人として関わっている。
これら3首相の全ての裁判に弁護士として関わっているのは唯一私だけである。

首相が公人として、靖国神社に参拝するのは明らかに憲法違反(政教分離原則違反)であるが、こういう憲法違反訴訟の難しさは、訴える原告に訴える資格があるかという問題である。
訴訟形態として、個人が損害を受けたとする国家賠償請求訴訟しかないのだが、その個人の損害をどう説明するのかが難しい。
現に、全ての裁判が、「損害がない」として訴えを棄却している。

しかしそれでも、理由中に、靖国公式参拝の問題点を指摘した裁判は少なくない。
中曽根訴訟における、大阪高裁の「違憲の疑い」の指摘。
小泉訴訟における、福岡地裁と大阪高裁における「違憲」の指摘。
小泉訴訟において、最高裁判決は違憲判断こそ避けたが、その行間の読み方はすでに私が「法学セミナー」(2007年5月号)で論考を寄せたとおりである。

おそらく、まともな法律家にとっては、首相の「公式参拝」が憲法違反であることは明らかなのだろう。

例えば、小泉訴訟における大阪地裁判決は、損害の発生が無いとして棄却するのだが(これは多くのパターンであり、多くは他の判断をしないのだが)、何と、「職務行為」であることはわざわざ認定したのである。
あたかも、「職務行為と判断すればこれでいいでしょう。公的参拝は政教分離違反は明らかなんだから」と暗示している如くである。

小泉氏も安倍氏もその本来の政治姿勢からすれば、8月15日に公人として公式参拝したかったに違いない。

しかし、小泉氏は、公人私人を明らかにしないまま、2日繰り上げて8月13日に参拝し、中韓との外交を配慮して以後の参拝は避けた。
安倍氏は、私人であると述べて、自己の首相就任一年の日に参拝した。

「五十歩百歩」ではあるが、違いは違いとして明記しておくべきだろう。
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by kazuo_okawa | 2014-11-17 21:37 | 出来事いろいろ | Trackback | Comments(0)