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by kazuo_okawa

柳澤協二氏の安倍政権批判

日弁連の函館人権大会2日目、午前中の目玉は何と言っても柳澤協二氏の特別講演である。
元内閣官房副長官補という大物であり、そういう立場でありながら、昨今、安倍首相の暴走を批判している。

ここが重要である。

以下、同氏の講演から特に印象に残った部分をあげる。

柳澤氏は冒頭から、「これまで何十年と政府の中枢にいた人物が、何故今、政府批判をするのか」とよく聞かれるが、私は、小泉政権、福田政権のときの「政府見解」に沿っていると述べる。
つまり、柳澤氏自身は何ら変わらず、むしろ、安倍首相が歴代自民党に比べていかに突出しているかということである。

では安倍首相は何をしたいのか。
岡崎久彦氏との対談集「この国を守る決意」で述べているとおり、安倍氏は(岸信介氏同様)アメリカと「互いに血を流すイコールパートナー」を目指しており、要するに、こういうことをしたいというのであるから、これはもはや「論理」ではない。

そして歴代自民党は、憲法九条と日米同盟の矛盾をはらむ、あやういピースをうまくはめていき、党内の色んな意見をきいて、中韓ともうまくつきあってきたと、中枢にいた柳澤氏ならではの指摘をする。
その上で、安倍首相の「非論理性」と「異なる意見に耳を貸さない」姿勢がいかに危険かを語る。

そして柳澤氏は、秘密保護法、国家安全保障会議(日本版NSC)、積極的平和主義の問題に触れた後、武器輸出を「密接な国」に可能としたが、これは歯止めがないという。何故なら、G8+幾つかで、ロシアとも中国だって「密接な国」となりかねない。
つまり何処でも輸出できる。

そして集団的自衛権も歯止めはない。
そもそも集団的自衛権は憲法で認められておらず、柳澤氏は、小林節憲法学教授の言葉を引いて「安倍首相は憲法泥棒」と指摘する。

これまで集団的自衛権を一番行使してきた国はソ連であり、その次はアメリカである。つまり集団的自衛権は「軍事大国」が行使してきたのであり、普通の国が、集団的自衛権を行使すれば世界は無茶苦茶になる。

安倍首相は、集団的自衛権の閣議決定をする前に、「友達を守らなくていいのか」とのたとえを出したが、このたとえはひどい。つまりこの「たとえ」にはどんな友達かが述べられていない。
その友達というものが、例えば、一番喧嘩が強くて常に誰かと喧嘩しているような友達なら、親として、そんな友達とつきあうのは辞めなさいと言うだろう。
にもかかわらず「友達が殴られた」という場面だけを取り出すことが本当はひどいのである。
柳澤氏が、「たとえ」には「たとえ」でかえすところが素晴らしい。

さてその友達、つまりアメリカとの付き合い方について、柳澤氏は非常に重要な点を指摘する。
日米同盟は、決してアンバランスな同盟でない、ということである。
この点は重要である。
つまり日本という国は、アメリカの戦略上、地政学的に重要な拠点である。
従って、アメリカにとって日本を米軍基地として使えるということ自体の意味が大きい。
(例えば米軍がいちいちハワイまで帰ることがなくなるのであり、その分のアメリカの利益は年間250億ドルにも及ぶという)
その代わりにアメリカは日本の安全を守る、としたのである。
これで対等であるから、日本は決して気を遣うことはない。

にもかかわらず日本はその後、「金」を出し、そして「人」も出してきたのである。
十分であるにもかかわらず、さらには「血を流す人」まで出すと安倍首相は考えている。

しかしそもそもアメリカ自身はどう考えているのか。
アメリカは安倍首相に期待するとともに、その歴史認識には不安を覚えている。
そして、尖閣列島については、スターズ・アンド・ストライプス(米軍機関誌)には「誰も住んでいないところ(尖閣列島のこと)の為に俺たちを巻き込むのは辞めてくれ」と書かれたという。

そもそも尖閣列島は、そこに資源があるわけでもなく、地政学上の軍事拠点でもない。
戦争の三位一体は、国民、軍隊、政府であると言われるが、戦争をするためには国民を煽ることが重要である。
戦争をしないためには、その逆、国民を沈めることである。
しかし尖閣列島については日中とも逆のことをしている。
(つまり日中政府とも国民を煽っている)

31歳フリーター「希望は戦争」という著があるが、「不平等の鬱積」は、右傾化し、戦争へとつながる。

柳澤氏は、その社会的矛盾が解決されないのはこの日本に「社会的強制」の枠組みがあるからであると指摘した上で、この「社会的強制」をどう気付き、そしてどう連帯を作った行くかが重要である、と締めくくられた。

大変素晴らしい講演である。
柳澤氏自ら述べられたとおり、これまで政府側の中枢にいられた人物の批判である、ということがその批判に重みを増す。

重要なのはこれから主権者たる国民がどう反撃していくかということである。

柳澤氏の講演の趣旨をさらに生かしていかねばならない。
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by kazuo_okawa | 2014-10-05 12:53 | 出来事いろいろ | Trackback | Comments(0)