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by kazuo_okawa
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押収物が少なすぎる?!

本日、龍谷大学の私の講座「裁判と人権」でゲストをお招きした。
袴田事件の弁護団の一人、間光洋弁護士による特別講演である。

袴田事件とは3月28日のブログにも書いた通り約47年ぶりに死刑から「生還」した冤罪事件である。

すなわち1966年に静岡県清水市で一家4人を殺害したとして、1980年に強盗殺人罪などで死刑が確定した元プロボクサー、袴田巌元被告人の第2次再審請求審で、静岡地裁(村山浩昭裁判長)は本年3月27日に、再審開始を認める決定をしたのである。
犯人と結びつけた証拠の衣類(鉄紺色ズボンなど5点)に付着した血痕が、最新のDNA鑑定によって、逆に、袴田さんと一致しないことが判明し、それが無罪の決め手となったという。
村山裁判長は、これらの証拠を、捏造の疑いがあると述べ、さらにそれは警察しか出来ないと批判した。
以上の点は、ニュースでも報じられたところである。

一年後に発見された衣類の血液が犯人のものとされ有罪になったが、その後のDNA鑑定術の発展により、それが逆に無罪の証拠となった。
本日の講演では新聞などのニュース以上に詳しく説明がなされたが、私が興味を持ったのは次の下りである。

すなわち、袴田さんの自宅にあった「端布」が、鉄紺色ズボンと一致したことから
(つまり鉄紺色ズボンの端布であったことから)
その鉄紺色ズボンは袴田さんのものとされたのだが、
鉄紺色ズボンなどの衣類に捏造の疑いがあるなら、この端布は何、となる。
実は、これも捏造の疑いが強いのだがそれを指摘する判決の次の下りが面白い。

「鉄紺色ズボンの端布が袴田の実家から押収されたが、その際、一緒に押収された物は、捜索差押許可状の目的物となっていたバンドだけである」

つまり、警察は捜索差押許可状をとって袴田宅の捜索をしながら、押収したのはバンドと端布のみだったのである。

これの何がおかしいの?と思われるでしょう。

それを知るには、警察の捜索押収実務を知らなければならない。
つまり、警察というところは、裁判所から捜索差押許可状をとって、被疑者宅を捜索するのだが、その際に、その目的物と関係ありそうな物はとかくやたらと押収するのである。
言い換えれば目的物以外に事件に関係ありそうな物は、やたらと押収するのが警察の一般的な運用なのである(本当は、許可状を逸脱するのではないかとの問題はある)。

なのにこのときは目的物以外に、わずか「一点」しか押収していない。
しかもそれが「鍵」を握る端布なのである。

押収物が少ない。
それが却って怪しい、というわけである。

「その晩、犬が吠えなかった。それがおかしい」という
かの名探偵シャーロック・ホームズの名推理を思わす着眼点である。
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by kazuo_okawa | 2014-07-03 22:08 | 大学あれこれ | Trackback | Comments(0)