日米地位協定の例外に見る、国家的「違法」派遣
2014年 05月 31日
いずれも画期的な判決であり、福井地裁判決についてはすでに私のブログにも書いたところでもある。
ところが同じ5月21日に、那覇地裁では米軍基地労働者の年次有給休暇に関する訴訟の画期的判決が出されていた。
事案は、沖縄米軍基地で働く従業員の年休取得を認めずに雇傭主の国が賃金カットをしたのは違法だとして未払い賃金と、言わば制裁金にあたる付加金の支払いを求めたところ、那覇地裁はこの請求を受けて、原告側全面勝訴判決を言い渡したのである。
ご存知の通り年休は労働者の権利であるから、労働者の求めた年休は認めなければならないし、有給であるから賃金カットはできない。
ところが、米軍基地に働く労働者はいわば「無法地帯」におかれている。
その根拠は「日米地位協定」で、基地労働者に対して日本の法令を適用しないという「例外」を認めているからである。
基地労働者の雇用主は日本国であるが、労働の指揮命令は全て在日米軍がなしうる。
それでいながら、在日米軍は「使用者」としての責任を一切取らない。
かくて在日米軍の元で働く基地労働者は「無法地帯」とも言うべき状態におかれていたのである。
もっとも日米地位協定で在日米軍が、手厚く、手厚く保護を受けているとはいえ雇用主は日本国であり、日本国が、日本の法を守るべきは当然であろう。
日米地位協定による例外規定がからみ、政治的には難しい事案であるが、労働者の権利に即した勇気ある判決である。
とはいえ、在日米軍といえども、労働者を「使用」する者には責任が伴う、という当たり前の原理を貫くべきであろう。
言い換えれば、その「壁」になっている日米地位協定の見直しこそが本来求められるものであろう。
それにしても、自分が実際には「使用」しながら、使用者の責任を一切取らない。
これって、「派遣」そのものですね。
国がこんなことに加担してはいけないでしょう。
二言目には「国民の命と財産を守る」という安倍首相は、ぜひまず、この沖縄の基地で働く労働者の「命と財産」を守ってほしいものだ。