「権利を有することを確認する」はわかりにくいか?
2014年 05月 11日
憲法改正を目指す安倍自民党の議員が
現憲法の表現はわかりにくいから、分かりやすく変えると述べ、
その分かりにくい一例として「権利を有することを確認する」という表現を挙げていた。
この表現は憲法の前文に出てくる
「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」の一文である。
確かに「翻訳調」である。
だからといって分かりにくいというものでもないだろう。
しかし、問題はそういうところにあるのではない。
分かりやすい表現に変えると言いながら、
自民党は、実際は中身を大きく変えようとしているのである。
そこが問題であり、実に姑息なのである。
「権利を有することを確認する」という表現は
いわゆる天賦人権説(人は生まれながらに人権を有しているとう説)という
今日の通説に立った考えである。
つまりもともとある人権を「確認する」というもので、
その思想は全く正しい。
実は、自民党憲法改正案はこの「天賦人権説」を変えようとしているのである。
人権を制約しようとするとんでもない改正案なのである。
現憲法の表現はわかりにくい。
だから分かりやすく変える。
といいながら、実際は中身を大きく変えようとしているのである。
「分かりやすい表現に」という
「分かりやすいスローガン」に騙されてはいけない。