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by kazuo_okawa

「先送り」は生物学的に正しい

「講談社+α新書」の新刊として、宮竹貴久氏の表題作が発刊された。

表題が意表をつく。
「先送り」は一般に良くないとされているから、その逆説的表現に惹かれた。

たまたま、将棋「電王戦」で、コンピュータが「ミス」をするという
「水平線効果」とういう現象を知り、それは結局「先送り」することが一因と知るなど
「先送り」はそのマイナスイメージとともに、私にとって興味深い用語でもあった。

さて本書、内容は非常に面白い。
生物は「生きる」ことと、あるいは自分の「DNAを残すこと」に全力を挙げ
その為の色々な手法を取ることを、分かりやすく解説し、読んでいて面白い。
中でも「死んだふり」作戦は面白い。
表題とも絡む、本書の眼目である。

つまり「死んだふり」する方が、動き回るよりも生存率が高い事を、著者は実験して確かめるのである。しかも、一旦発表したその説に、別の原因の可能性が示唆されたとき
その可能性(他原因)を崩していく姿勢も面白い。

一方、著者はそれを人間社会に「類推」しようとする。

戦国時代、「死んだふり」して生き延びたもののエピソードや、現代社会でも会議でじっとしている術など、それなりに面白いが、どうも牽強付会に思える。
つまり、本来良くないとされる「先送り」を、「死んだふり」の生物学的有効性から無理矢理結びつけている感がぬぐえない。

「先送り」がいけないのは、今決めなければならないことを決めず、今しなければならないことを直ちにしないことだろう。

ところが、生物の「死んだふり」は、批判される「先送り」でない。
生きるか死ぬかの究極の状況で、その生物の「死んだふり」は、
生きるための戦術の一つとして、「今」実行したのであり、決して「先送り」でない。

「死んだふり」を「先送り」と解釈し、
それを強引に結びつけるところに問題があるだろう。

内容は大変面白いのに、表題の付け方が残念である。


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by kazuo_okawa | 2014-04-21 22:49 | 本・書物 | Trackback | Comments(0)