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by kazuo_okawa

フクシマとミナマタ~東北大震災から3年

2011年3月11日の東北大震災から3年になる。

「3年」といえば、弁護士の悲しい習性か
つい、時効の「3年」を思ってしまう。
民法(不法行為)或いは国家賠償法に基づく損害賠償請求権の
時効は3年であり、3年経てば損害賠償をすることは出来ない。

もっとも、3年は短すぎるため、東電に対する原発損害賠償は
昨年成立した特例法で10年に延長された。
しかしここで延長された損害賠償は福島原発被害による東電への請求のみである。
国に対する損害賠償請求権は延長されていない。

福島原発事故以後、色々な被害が生じた。
私が相談の受けただけでも、風評被害や
西成労働者が騙されて原発作業に従事された人など
色々な類型があり、果たして、国に責任はないのか大いに疑問がある。

しかし、被害者が国を訴えるのは極めてハードルが高い。
しかも、被爆者差別の中で、自ら放射線被爆を明らかにして
訴えるのは想像以上の大変な勇気がいる。

思えば、水俣病事件もそうであった。
石油化学政策と原発政策という共に「国策」から生じた被害という
共通項のある水俣病事件と福島原発事件。

時効との闘い、
差別との闘い、
本人申請主義との闘いなど数々の妨害に襲われた水俣の闘いは
今日の福島を思い起こす。

水俣病被害の完全救済を求める闘いは
勇気ある患者、良心的な医師などの支援のもとに
大きな成果をあげてきたが、それでも水俣病被害は、
今日、今なお、全面救済になっていない。

それを見ても、福島原発被害にも多くの「泣き寝入り」があるに違いない。

安倍首相がなすべきは、まずはそういった被害者の完全救済を図るべき事であろう。

しかし安倍首相はそういう根本的なことには言及しない。
無論、国策の誤りも反省しない。
水俣病の認定条件は、最高裁が出ても今なお大きく転換せず、
原発再稼働を画策していることは周知の通りである。
これはあまりにも恥ずかしいとしか言いようがない。

にもかかわらず、安倍首相は10日に首相官邸で記者会見し
「これからはハード面の復興だけでなく、心の復興に一層力を入れていく」
と述べている。
これでは、あたかもハード面の復興の道筋はついたかのようである。
しかし、現実には前述の通り多くの「泣き寝入り」があるだろう。

さらに安倍首相は「この1年は大きく遅れていた復興が動き始めた。
被災地が復興を実感できる1年にしていく」と語ったという。

国策被害ミナマタの全面救済の出来ない者にどこにも説得力はない。
相変わらずこの人の言葉は軽すぎる。
by kazuo_okawa | 2014-03-12 00:26 | 司法・ニュースその他 | Trackback | Comments(0)