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by kazuo_okawa
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竹内薫「統計の9割はウソ」

書店で平積みにされていた竹内薫著「統計の9割はウソ」を買う。
確率・統計といった本は好きなので類書は何冊も買っているが
本書は帯の謳い文句が良い。
「思わせぶりな数字にだまされるな!」

思わず「うっ、!」と思いますね。
「思わせぶり」多いですからね。

内容も具体例を挙げて分かりやすい。
色々とこの種の本を読んできているが、本書で印象に残ったのは幾つかある。

まずは「ブラック企業」の弁明
(我が社の残業などの働かせ方は「平均以下」であるからブラックではない)の項である。
(注;「ブラック」のネイミングには問題はあるが、一般に定着し、
本書に使われているためここではそのまま使う)

この弁明が、「統計トリック」である、というのはなるほどと感心した。
つまり、ひどい極端な例があれば「平均値」を押し上げるから、
統計的にみても「ブラック企業」の弁明のようなことはあり、
こういう場合は「中央値」で考えるべきである、という指摘である。
なるほど。
はなから「ブラック企業」を疑っていると、その弁明自体を、頭から
いい加減なものだろうと思うが、そのいい加減な内容をきちんと指摘することが
重要である、と自戒する。

もう一つ印象に残ったのは、外国人参政権の世論調査の項である。
朝日新聞世論調査は賛成60%なのに
産経インターネット調査では95%反対という、極端な結果の分析である。

朝日は無作為抽出であるが、産経は,eアンケートというインターネットによる
調査で自ら答えようと思ったものだけの集計であるという。
それゆえ、eアンケートでは男性1053人、女性253人。
あきらかに全体の世論の動向を知るという意味での統計にはなってない。
そういった点の問題性を本書は明らかにしている。

統計の本ゆえ、解説としてはそれで良いのだろうが、
実際は、産経のアンケートの質問自体にミスリードがある。
「外国人参政権」については、「国政」と「地方」を峻別するのが
おおよその世界の流れである。
つまり「国政」については、地球上の何処にいても本国の参政権に参加出来る。
一方、「地方」については、本国でなくても、住んでいる地の参政権に参加できる。
産経の質問は、ウソは書いていないが、この2つを混同しかねない質問である。
つまり産経は、外国人の地方参政権を与えたくないがために
2重、3重におかしなアンケートの取り方をしているのである。
これはひどいですね。

さて冒頭に書いた「うっ、!」ときた部分。
「統計の9割がウソ」というその「9割」自体が思わせぶりな数字でないのか
と思いますよね。

ちなみに、私が持っている氏の著作は、他に
「99・9%は仮説」
「科学予想は8割ははずれる」です。
笑ってしまいますよね。

アンタ自身がいつも思わせぶりな数字を題名にしてるでしょ、と。

その回答を作者は本書で、きちんと、「おわりに」で用意しています。

実は本書で一番印象に残った部分である。

ミステリファンの中には、ミステリの作品を読む前に、先に「あとがき」から
読む人がいますが、本書でそれはしてはいけません。
立ち読みで、本書の「おわりに」だけを読むのもいけませんよ。
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by kazuo_okawa | 2014-03-10 23:47 | 本・書物 | Trackback | Comments(0)