制度を変えた女王
2013年 11月 25日
片隅に、
将棋の里見香奈女流名人が
倉敷藤花のタイトルを失い
これで2冠に後退した、との
記事が出ていた。
里見香奈は、女流の6大タイトルの内
一時、5冠まで勝ち取り、
全冠制覇も間近といわれた女流強豪である。
人呼んで「出雲のイナズマ」。
その強い里見が5冠から連続失冠しているのである。
里見は、女流棋士としての活動の他
男子と混じって奨励会(将棋のプロ養成機関)に
入っていることから
おそらくその激戦が堪えているのであろう。
男子と同じく奨励会に入って
そこを勝ち抜いてプロ棋士になった
女性は過去誰もいない。
一方、女性だけの女流棋戦が6つあるが
かつては、女流棋士と奨励会の掛け持ちは許されず
奨励会を目指す女流棋士は
その間、女流棋戦を休むしかないし、
逆に、女流棋戦に参加するなら
奨励会試験は受けられなかった。
里見が、奨励会を目指したとき
すでに女流のタイトルホルダーであったため
彼女にこの制度の壁が立ちはだかった。
しかし、そのとき里見は
「あくまで、プロを目指す。
そのためなら、女流タイトルを返上してもよい」
と述べたという。
この里見の熱い思いが制度を変えさせた。
無論、女流棋戦において
スターを失いたくない、という
日本将棋連盟の思惑もあったろう。
しかし、確実に言えることは
里見香奈の一言が制度を変えたということである。
制度は変えられる。
制度を変えた里見香奈には