大阪府警の誤認逮捕
2013年 08月 10日
本年4月に、少女がスカートをめくられる痴漢事件があり、
大阪府警高槻署が、十分な裏付け捜査のないまま
無関係の男性を誤認逮捕したという。
またしても誤認逮捕か、と思うのであるが
怖いのは次の下りである。
(以下記事の引用)
<少女の母親がパトカーで通りかかった高槻署員に
「子供がさっき痴漢にあった。犯人は逃げた」と説明。
同署員は近くの路上をジョギング中の男性に職務質問をした。
男性は否定したが、同署員は少女と母親が「間違いない」と
話したのを信じて現行犯逮捕した。>
<しかし、母親が事件当時、現場におらず、犯人を見ていないことが
判明。少女が被害に遭った後にいったん帰宅し、現行犯逮捕の要件
を満たしていないことも分かったため、男性を釈放した。>
<その後、現場の防犯カメラに別の男が映っていたことが
確認された。>
即ち、男性は否定しているのに
犯行も、犯人も見ていない母親が(少女とともに)「間違いない」と
言ったことから直ちに「現行犯逮捕」をしているのである。
まさか、こんなに簡単に逮捕するのか、と思われるかもしれない。
まさかではなく、実際、するのである。
だから怖い。
逮捕の濫用については拙著「裁判と人権」(一葉社・改訂第4版)
にも詳しく書いているので関心のあるかたは
是非お読み頂きたい。
逮捕という「身体拘束」は大変な人権侵害であり
それゆえ法は裁判所に身体拘束して良いかどうかをチェックさせている。
いわゆる令状逮捕の原則である。
現行犯逮捕は、この令状逮捕の例外であり、
犯罪がおこわなわれた直後であることから
例外として認められたものである。
にもかかわらず例外のチェック
(つまり、犯罪直後か否かのチェック)が甘いまま、
いとも簡単に逮捕されているのである。
誰もがこのジョギング中の男性のように
誤認逮捕されうる。
だからこそ怖いのである。
こういう誤認逮捕は決して許しては